秋田県の主に内陸地方南部に伝わる漬物。近年では「いぶりがっこ」という呼び名が一般に用いられるが、「いぶりがっこ」とは湯沢市雄勝地区(旧雄勝郡雄勝町)の漬物屋(雄勝野きむらや)が売り出したいぶり漬けの商標である。秋田弁で漬物のことを「がっこ」とも呼ぶことから、その後「いぶりがっこ」として知られるようになった。
大根などを囲炉裏の上につるして燻製にしてから、主に米糠と塩で漬けこんだもので、燻製にする点を除けば沢庵漬けと似ている。囲炉裏火の煙で燻されるため、表面に茶色あるいは黒い色が付き、味も燻製の香りがついた独特のものになる。
山間地では降雪の時期が早く、秋に採れた大根などの野菜を天日で干すことができなかった。そのため室内に吊るして囲炉裏火の熱と煙りで干したのがはじまりといわれる。雪が多いこの地方の保存食として古くから親しまれてきた。
横手市山内地区(旧平鹿郡山内村)では、いぶり漬けの味を競う「いぶリンピック」が開かれる。 横手市山内三又地区では特産品山内にんじんを使い、いぶりにんじんを作っている。